キリスト教のカトリック、プロテスタント、正教会の違いとは?
2018/05/03
クリスマスのシーズンになると急にみんなクリスチャンになるようですが、実のところ、キリスト教のことはあまり知らないものですよね。
一言でキリスト教とは言っても、実は、三つの大きな流れがあり、それらは、ローマ・カトリック、プロテスタント、正教会と呼ばれています。
また、カトリックとプロテスタントの中間に位置する聖公会という会派もあります。
仏教でも、真言宗、天台宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗など代表的なもので13宗派にわかれていますね。
それと同じようなものですね。
ここでは、キリスト教の3つの大きな流れと各派の特徴についてご紹介しましょう。
クリスマスに、こんな豆知識をちょっと知っていると教会を見る目も変わってくるかもしれませんよ。
また、クリスマスイブに彼女と教会を眺めながら、ウンチクを述べるのも、これまたよし。
ローマ・カトリックとは?
まずはじめに確認しておきたいのは、キリスト教の各派の共通点は一冊の経典「聖書」を拠り所としている点ですね。
キリスト教と名乗っていても、聖書以外の経典を持つものがあります。
例えば、「ものみの塔」(エホバの証人)、統一教会(原理運動)、モルモン教などがあります。
これらは、良い悪いの問題ではなく、キリスト教という枠組みから見ると、「異端」とみなされています。
ローマ・カトリックは、教皇(法王)を頂点としたプラミッド組織を持っています。
あの有名なバチカン市国のローマ教皇が頂点なわけですね。
全世界を統一した組織になっています。
日本ではカトリック中央評議会(http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/)が日本国内を管轄していますが、所詮、バチカンの下部組織なので、日本でなにかをしようとすると、必ずバチカンにお伺いを立てる必要があります。
ローマ教皇の存在は、カトリックのシンボルでもあり、また、これが問題となった時期もありました。
歴史的に見ると、教皇という聖書の教えにないものを神の代弁者に奉り、そこに絶対的な権力をあたえために、カトリック教会は徐々に腐敗していったのです。
この腐敗に耐えられずに宗教改革をしたのがマルチン・ルターであり、そこで生まれたのがプロテスタントとなるわけです。
その後、ローマ・カトリックの自己改革も進めましたが、現在では、原始キリスト教にギリシャおよびローマの異教的要素を加えたものと言われており、純粋なキリスト教とも言いにくい状況になっているようですね。
カトリック教会には、イエス像、マリア像、聖人像があるのが特徴です。
カトリックの信徒の離婚は基本的に認められず、聖職者である司祭は独身の男性である必要があります。
このあたりが妙に厳格で、現代の感覚とそぐわない部分もあるようですね。
世界の信徒数10億人~12億人と言われる最大のグループです。
また、カトリックでは、礼拝のことを「ミサ」と呼びます。
教会で礼拝することを一般用語として「ミサ」とよぶ人もいますが、これは間違いで、ミサというのはカトリックだけの用語ですので、要注意ですね。
ちなみに、プロテスタントでは「聖餐式」、正教会では「聖体礼儀」と呼びます。
一般用語として使う場合には「礼拝」が無難ですね。
プロテスタントとは?
プロテスタントは、マルチン・ルターによるローマ・カトリックの腐敗に抗議することから始まった16世紀以来の新しいキリスト教の流れです。
プロテスタントはその一連の運動の総称の事を言います。
プロテスタントは、元々カトリックを飛び出した一派ですから、カトリックから飛び出した組織は全てプロテスタントとも言えます。
カトリックは全世界統一した組織ですので、一切の分派を認めませんが、プロテスタントは分派も自由です。
その結果、プロテスタントにはたくさんの教派が出来て、組織的な統一もなく、各分派でバラバラで、教義もバラバラです。
ただ、一つ共通点があるのは、「聖書に帰れ」ということを基本思想にしていることですね。
原始キリスト教を回復しようとする動きとも言われます。
また、全ての信者は神様の前に、基本的に対等な兄弟姉妹であり、キリストを通して直接神様と交わることができる、としています。
プロテスタントでは聖職者のことを司祭ではなく、牧師と呼びます。
牧師には、女性でもなれますし、結婚も離婚も自由です。
カトリックとプロテスタントの違いは?
カトリックとプロテスタントの基本的な考え方の違いは、神と個人の距離感だと思われます。
カトリックでは、神⇒神父⇒個人というように、神父を仲介者として置いた関係ですが、プロテスタントでは神⇒個人という直接の関係になります。
従って、プロテスタントではまとめ役として牧師がいるだけなのですね。
カトリックでは、ヨハネやマタイやパウロなどの聖人がいますし、聖母マリアも崇敬の対象ですが、プロテスタントではこれらを崇敬していません。
教会の十字架にも違いがあります。
十字架にイエス像があるのがカトリックで、十字架だけのシンプルなものがプロテスタントです。
キリスト教では、お祈りの時に、十字を切るものだと思っているかもしれませんが、カトリックでは十字を切りますが、プロテスタントでは切りません。
洗礼名(クリスチャンネーム)もプロテスタントにはありません。
これは聖人崇敬を行わないためなんですね。
ちなみに、聖公会は、カトリックとプロテスタントの中間的な位置づけで、どちらかと言うとプロテスタントの一派と見ることもできます。
正教会とは?
正教会は日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、全国的に有名なところでは、函館の「ハリストス正教会」や東京の「ニコライ堂」などの美しい教会がありますね。
正教会はギリシャ正教会とも呼ばれ、4世紀にローマ帝国が東西に分割された後に、東西の交流も薄れて、その後、11世紀に相互破門と言う形で分裂し、東方教会と西方教会に別れました。
その東方教会が正教会であり、西方教会がローマ・カトリックというわけですね。
正教会は、原始キリスト教にギリシャおよび東洋の異教的要素を加えたものと言われています。
正教会は、世界を統一した組織はなく、国や地域によりロシア正教会、ルーマニア正教会、ブルガリア正教会、グルジア正教会などと分かれているのが特徴になっています。
日本にある正教会は日本正教会といいます。
各国の正教会は対等であるため、各国別に好き勝手にやられては困りますので、一定の縛りが必要です。
そこで、名目上はトルコのイスタンブールにある「コンスタンティノープル総主教座」とロシアのモスクワにある「モスクワ総主教座」の2つがまとめている形となっています。
経典は、聖書だけでなく、正教会が認定した「聖伝(伝承)」を拠り所としています。
正教会の教義の特徴は、人間の理解をこえた事柄については謙虚に沈黙するという古代教会の姿勢を受け継いでいるところです。
言い換えると、古代のキリスト教の教義を付け加えることもなく、差し引くこともなく、そのまま受け継ぐこととされています。
神秘主義が強く、絶対的権力者はいませんが、階級はあります。
教会には、イコンと呼ばれる「聖画像」があり、象徴的です。
信徒の離婚については、基本的には好ましくないというスタンスですが、その諸事情により判断するようです。
正教会では司祭も妻帯できます。
ただし、司祭になってからでは、新たに結婚できません。
未婚で司祭になったら、結果として、そのまま生涯独身となります。
カトリックと同様に、男性しか司祭にはなれません。
信徒数1億5000万から2億人と言われています。
カトリックと正教会の違いは?
カトリックと正教会はその成り立ちからも非常に似ています。
ただ、違いに注目すると、主な点としては、その成り立ちから、正教会は、ローマ教皇を絶対権力を否定します。
また、正教会では聖霊は神のみからでるとしています。
一方、カトリックでは「父と子と聖霊の名においてアーメン」という三位一体の教義からわかるように、聖霊は神とイエスから出るとしています。
ここで、「父」とは神を意味し、「私たちの上におられる神」という意味です。
「子」とは神の子であるイエスのことを意味し、「私たちと共におられる神」という意味です。
「聖霊」とは「私たちの内におられる神」という意味と捉えてよいでしょう。
まとめ
●クリスマスを機会に、キリスト教の基礎を知っておくのもいい
●カトリックとプロテスタントと正教会の違いの基本を知っておくといい
●クリスチャンでなくても、クリスマス・イブには、教会の礼拝に行って荘厳な雰囲気に触れるのもいいかも