起立性調節障害(OD)を克服するために親ができる最も重要なことは?
2018/05/03
起立性調節障害(OD)って、辛いですよね。
本人が一番辛いんですが、親も辛いです。
見た目では、普通に見えるし、夜は元気だし、普通の人にはやっぱり理解できないと思います。
そんな起立性調節障害(OD)を抱えている子供に対して、親ができることで、最も重要なことって、一体なんでしょうか?
起立性調節障害(OD)で最も重要なのは?
私の息子は、中2のときから徐々に朝起きれなくなり、しばらくして、とうとう学校に行けなくなりました。
その後、病院で起立性調節障害(OD)という病気であることがわかりました。
息子の学校は、中高一貫校でしたので、なんとか高校には上がれたものの、出席日数の問題と成績の問題から、高1から高2に進級できずに、高2からは通信性高校に転校しました。
今でも朝起きれないこともありますが、彼も頑張っていて、少しづつですが徐々に良くなっています。
この起立性調節障害(OD)で最も重要なのは、やっぱり親の理解だと思っています。
特に、学生時代に体育会系の親で「頑張ればできる!」って気合で青春を送ってきたような親が一番危険です。
なぜなら、私自身が当初、全くその通りで、ODを理解できなかったからです。
妻は、自分も小さい時にODを発症した経験もあり、すぐに理解できたようですが、私にはただサボっているようにしか見えませんでした。
ある朝、妻が泣き叫びながら息子を起こしていました。
その声に、私も手伝いに行こうと思って、息子の部屋に行きました。
それまでは、私が行けばなんとか起きてきたのですが、この時は違いました。
なんというか、死んでいるように全く反応が無いのです。
丸太を抱きかかえるように背中を抱えて起こしても、死んだように眠っています。
大声を出しても全く聞こえていません。
体を強く揺すっても、全く起きません。
と、いうより全く気づいていません。
これには、さすがの私も普通じゃないということが、やっとわかりました。
その時、私は初めて実感として、これは病気なんだと理解することができたのです。
親でもこんな調子ですから、他人にはわかるはずもありませんよね。
学校の先生も例外ではありません。
ですから、妻は先生を説得するために、ODの資料や本を印刷して持っていって、いろいろと説明していたようです。
そのおかげで、一部の先生方には、一定の理解を得られるようにはなりました。
でも、結局、その学校の規則で、高校1年の終わりで、辞めざるを得ないことになりましたが、その時の息子の寂しい気持ちはひしひしと感じました。
小学生のときに受験して合格して入った学校でしたから、本人もプライドがあったと思いますし、どうにもできない自分の体にどうしようもない苛立ちを感じていたことでしょう。
うつ病気味にもなり、心療内科にも通うようになりました。
後で聞いた話では、そのころは、死ぬことも考えていたようです。
その話を初めて聞いたとき、ゾッとしました。
転校先の通信制高校を探していた時のことです。
はじめに、前の高校の校長先生が紹介してくれた、都内のとある有名な通信制高校に見学に行きました。
いろんな理由から普通高校から通信制高校に移る人がいると思いましたので、当然、こちらの先生方はODについてもご理解いただいているものと思っていました。
また、元の高校の校長先生からの推薦のお話をしてもらっているとのことでしたから、安心して行ったのです。
学校の説明を聞かせてもらい、校内を一通り案内頂き、好印象をもって、個別相談に臨みました。
そのときに対応頂いたのは、その学校の教頭先生でした。
しかし、彼は、全くODを知りませんでした。
いえ、正確にはODについては知っていましたが、全く理解していませんでした。
彼の発言で忘れられないのは、「最近は、学校に行けなくなると、みんな起立性調節障害って言うんですけどね・・・」と言っていたことです。
その後、彼が何を言っていたのか覚えていません。
ただ、考えていたのは「ここには入れられないなあ、教頭がこのレベルじゃあな・・」ということだけです。
沢山の生徒さんを扱っている先生でもODについてはほとんど無知であるということがわかりました。
そして、結局は息子は、自宅からできるだけ近くの通信制学校に通うことにしたのです。
起立性調整障害(OD)の医療と教育の問題点とは?
医療面の問題としては、小児科以外の医師には認知度がとても低く、小児科の先生でさえも正しい理解をしていない場合も実は多いのです。
ODの正しい検査と正しい処方をすることのできる病院は数少なく、専門医が少ないのが現状です。
ODに詳しい病院と言われるところでは、半年待ちと言われます。
ODは、自律神経失調症の一つなのですが、その原因も治療も明確ではありませんし、判定基準も今ひとつ明確とはいいにくい感じがしています。
また、教育の面では、とにかく朝起きれなくなるのが、典型的な症状なので、朝、学校に登校できなくなる場合が多いです。
本人としては、本当は学校に行きたいけれど、朝起きれないので行けない、昼頃からなら行けるけど、途中から遅刻して行くのは嫌だ、というようなことが重なって、結局は登校拒否となってしまうようです。
私の息子もそんな感じでした。学校は好きだと、ずっと言ってましたから。
学校に行かないので教育の遅れも問題になりますし、進学問題もあります。
子供自身にとっても大きなストレスとなり、症状を悪化させてしまう場合もあるようです。
また、最も身近な教師や友人に理解されないのは辛いことですよね。
社会全体が理解しないと全員に同じ理解してもらうのは無理だと思いますが、少なくとも近くの親だけは味方になってあげましょう。
そこが、子どもたちにとって、最後の砦なんですから。
それだけでも、絶対に救われるはずです。
起立性調節障害の支援団体の活用方法とは?
とは言え、親も結構辛いですよね。
夜は元気にゲームしたりテレビ見たりして元気なのに、なぜ朝は起きれないの?とやっぱり思ってしまうものです。
そして、子供が学校に行けないと、一緒にいる時間が増えますし、それが特に母親にとってもストレスとなってきます。
そんな時には、同じ悩みを共有する人たちの集まりに行って、とにかく、みなさんの話を聞き、自分の悩みを言いたければ言えるような、そんな、ただの雑談の場が、特に母親には重要だと思っています。
女性は話すことでストレスを発散させることができますからね。
そこで、おすすめしたいのが、ODの支援団体です。
自分ひとりで抱えられなくなりそうになったら、いろんな支援団体がありますから、お近くの団体の集まりで出てみてはいかがでしょうか。
きっと、共感を得られて、安心すると思いますよ。 妻も「救われた!」と言っていました。
通称、ODの会と言われ、ODの患者の声を社会に届ける活動や、患者・家族・医療関係者・教育関係者と共に解決策を考え、支援する活動をしています。
アリスの会では、親同士のコミュニケーションの場を提供したりして、ODの正しい理解と周知を目的として活動しています。
また、起立性調節障害の情報サイトとして、「起立性調節障害サポートグループ」(http://inphs-od.com/)も詳細な情報が満載ですので、参考になると思います。
参考図書としては、わかりやすい説明のこちらがおすすめです。
やさしくわかる子どもの起立性調節障害 保護者・先生が知っておきたい正しい理解とケ... |
まとめ
●お子さんが起立性調節障害(OD)になったら、まず、親が一番の理解者となることが最も重要。
●病院の先生や学校の先生でも、起立性調節障害(OD)のことを知っていても、理解していない人が多いことを頭に入れておいたほうがいい。
●子供も大変だけど、親も大変。どうしようなならなくなる前に、支援団体に相談してみよう。きっと、自分ひとりじゃないって感じれるし、みんなから勇気をもらえる。