インフルエンザに麻黄湯!効果はあるの?飲み方は?副作用は?
インフルエンザといえば、今やタミフルやリレンザが特効薬として有名ですが、最近では、病院でも漢方の麻黄湯を処方する場合があります。
漢方の世界では、インフルエンザといえば麻黄湯(まおうとう)が有名なんですね。
ここでは、
麻黄湯はタミフルやリレンザ並の効果が期待できるの?
麻黄湯の正しい飲み方はどうすればいいの?
ちょっと気になる麻黄湯の副作用はあるの?
といった麻黄湯の基本的な疑問にお答えします。
目次
インフルエンザに麻黄湯は本当に効果があるの?
結論から言うと、麻黄湯はインフルエンザに効果があります。
2009年には福岡大病院が麻黄湯がタミフル並の効果があると発表していますし、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班が行った2006年~2007年の臨床データでもタミフル、リレンザ、麻黄湯では投与開始から解熱までの時間に差は見られなかったとの報告もあります。
ですから、麻黄湯は、タミフルに匹敵する薬効があると実証されていると言っていいでしょう。
これはちょっと驚きですよね。
漢方というと、穏やかな効き目(つまりあんまり効かない)ってイメージがありますが、麻黄湯は強力な速効性があるということです。
また、一時、タミフルを使用した子供の異常行動についての報道もあったりして、タミフルの副作用は、ちょっと気になるところですね。
漢方も副作用がありますが、使い方さえ間違わなければ大きな副作用は心配する必要がありませんので、グッと安心感が増します。
麻黄湯は、一般的に風邪やインフルエンザのひき始めで、ゾクゾク寒気がして、発熱があり、関節痛や頭痛が有る時に使う薬です。
麻黄湯は、発熱はあっても汗が出ない場合に、体を温めて汗を出させて、解熱させる効果がありますから、服用すると暑くなって熱が上がったように感じることもあります。
ここで注意したいのは、麻黄湯は、「誰でも、何時でも、服用さえすればインフルエンザに効果が有る、というわけではない」という点です。
「ある一定の条件に合致したときだけに効く薬」ですので、使い方に配慮が必要です。
病院で処方される場合には、先生の言うことをきちんと守ることで大丈夫ですが、自分で、市販薬を買って飲む場合には、要注意ですね。
麻黄湯がインフルエンザに効果的な場合とは?
麻黄湯がインフルエンザに有効に作用するには、以下の3つの条件が揃っていることが必要です。
一つ目は、症状が、「ゾクゾクする寒気がり、発熱があり、頭痛や関節痛があり、首や肩のコリがある」場合です。
汗が出ていないところがポイントですよ。
汗が出ているときや、暑さで布団をはがすような状態で、喉の痛みや乾きが有る場合には、麻黄湯は使えませんので、気を付けましょう。
二つ目は、患者の体質が、漢方で言うところの「実証タイプ」であることです。
実証タイプとは、体力があり病気に対する抵抗力が強い人で、風邪などでは症状が激しく現れるタイプですね。
ガッチリした体格で筋肉質で、声が大きくて胃腸が丈夫な感じのタイプです。
この逆にタイプは「虚証タイプ」と言われます。
虚証タイプとは、体力がなく、病気に対する抵抗力が弱い人で、風邪などでは症状があまり激しく出ないタイプですね。
痩せていて、きゃしゃな体格で、声が小さく弱々しくて胃腸が弱い感じのタイプです。
このような虚証タイプには麻黄湯を使うと、副作用が強く出る可能性があるので、使えません。
ざっくりいうと、麻黄湯は体力がある場合に使える薬で、体力がない人に使うと副作用が強く出る可能性があるため使えないということになります。
実証タイプか虚証タイプは、ある程度は自分で判断できると思いますが、できれば医師や漢方薬局に相談するのが、安心ですね。
三つ目は、タイミングが、風邪やインフルエンザの区別が付かないくらいのごく初期であることです。
寒気がしてきて、ゾクッときたとき、その時がベストタイミングですね。
体温を測ってみると、発熱があったり、体の節々に痛みを感じたりする時です。
インフルエンザが長引いたり、一旦熱が下がって再びぶり返した場合には、麻黄湯は使えませんので、覚えておきましょう。
また、薬というものは、漢方でも、ほとんどは腎臓か肝臓のどちらかで代謝されますので、肝臓や腎臓が弱っている人が、普通の人と同じ量で飲むと、代謝されずに血中濃度が普通の人の何倍にもなる事があります。
ですから、肝臓や腎臓が弱い方は、事前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
麻黄湯はどこで買う?
麻黄湯は、普通のドラッグストアやネットで購入することができるので、簡単に入手できるのが大きなメリットですね。
タミフルやリレンザは、病院で処方してもらうしかないので、早く行き過ぎると検査で陰性となって処方してもらえなかったりして結構大変ですよね。
その点、入手が簡単な麻黄湯は常備薬として自宅においておくこともできるので便利です。
自宅に常備しておくと、寒気がしてゾクッと来たときがベストタイミングなので、気づいたその瞬間に飲めるのが強みです。
最もいいのは、病院で処方してもらうのが一番安全ですし、保険も適用されるので、一番安く買うことができます。
ただ、ゾクッと来た時にすぐ病院に行ける状況だといいのですが、そうゆうときばかりとは限りませんから、やっぱり自宅に常備しておくと便利ですね。
ツムラ、クラシエ等から顆粒や錠剤が市販薬として発売されています。
【第2類医薬品】ツムラの漢方 麻黄湯エキス顆粒 (8包) まおうとう かぜのひき... |
【第2類医薬品】クラシエ薬品 「クラシエ」漢方麻黄湯エキス顆粒i 10包 |
ツムラでは麻黄湯のドリンクタイプも発売されています。
15歳以上であれば飲めますので、小さな子供以外には便利ですね。
【第2類医薬品】ツムラの漢方内服液 麻黄湯 30ml×3本【P25Jan15】 |
インフルエンザの予防効果はあるの?
結論から言うと、残念ながら、麻黄湯にはインフルエンザを予防する効果はありません。
ただ、実際に、風邪なのかインフルエンザなのかハッキリしない段階の患者に、麻黄湯を処方して様子をみる医師も少なくありませんので、このような使い方は、インフルエンザの予防と呼べるのかもしれませんね。
ちょっと喉が痛い、身体がだるい、熱っぽいなど、体の不調があるときに麻黄湯を飲むことで、汗をかいて快方に向かうようにするわけですから、風邪であれ、インフルエンザであれ、ごく初期段階で熱を下げてしまうので、ある種の予防的な意味合いもありますね。
一方で、上述しましたように、体に合わない場合には症状が悪化する場合もありますので、そのような兆候が現れたらすぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
麻黄湯の正しい飲み方とは?
麻黄湯を飲むタイミングはいつ?
麻黄湯の飲むタイミングは、寒気を感じてゾクッとした瞬間です。
発熱があるようで、体力がまだあるようなら、すぐに飲みましょう。
ポイントは、汗をかいていないことでしたね。
また、漢方薬の飲むタイミングは、食前もしくは食間(空腹時)に飲むようにします。
麻黄湯は水で普通に飲めばいい?
麻黄湯は、最後に「湯」とありますので、お湯やぬるま湯で飲んだり、お湯に溶かして飲むことが正しい飲み方になります。
顆粒で、溶けにくい場合には、少量の熱湯に1包を入れて、良くかき混ぜ、電子レンジで30秒程度加熱すれば完全に溶けます。
その後は水で温度を調整して、ぬるま湯にして飲むといいでしょう。
ただ、結構、苦い薬なので、ちょっと飲みにくいかもしれません。
そんなときは、ココアやはちみつに混ぜて飲むのもいいでしょう。
どうしても飲みにくい場合には、オブラートに包んで白湯で飲むか、薬を飲みやすくするゼリーを使うのもアリですね。
麻黄湯をやめるタイミングはいつ?
麻黄湯を飲むと体が暑くなり、汗がどっと出たら、もうやめてもいいでしょう。
だらだらと飲み続けると、麻黄湯は強い生薬なので、汗をかきすぎて体力が奪われて、ぐったりとしてしまいますので、要注意です。
通常は1日、長くても2日程度を目安にすればいいと思いますが、長くなりそうな場合には、早めに医師の診察を受けましょう。
麻黄湯と他の薬との飲み合わせは大丈夫?
漢方といえども飲み合わせは注意が必要ですので、むやみに他の薬を一緒に飲むことは避けたいものです。
特に、麻黄湯は体を温めて汗をかかせる効能があるので、これに解熱鎮痛剤を併用すると効果が弱くなる可能性があるので、やめておくべきです。
医師が処方した場合には、飲み合わせを考慮していますので、問題ないのですが、自己判断はちょっと危険が伴います。
まずは、麻黄湯だけで様子を見て、回復しない場合には医師の診断を受けるのがおすすめです。
妊婦さんが飲んでも大丈夫?
結論から言いますと、妊婦さんは飲まないほうがいいです。
「漢方だから大丈夫かな?」と思われるかもしれませんが、麻黄湯の主成分の麻黄には末梢の血流を少なくする効果があるため、胎児に充分な血流が供給されなくなる危険性があります。
短期間の服用で大きな問題になる可能性は低いと思われますが、使用する場合は医師の診断のもとに慎重に服用することが必要です。
麻黄湯の副作用とは?
麻黄湯は、胃腸障害や排尿障害、不眠などの副作用が出る場合があります。
麻黄湯の主成分である「麻黄」には交感神経を刺激する作用がありますので、高血圧や心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害の方は、医師に相談することをおすすめします。
また、他の漢方薬を併用している場合には、「甘草」という生薬に注意が必要です。
甘草は麻黄湯にも含まれていますが、摂取し過ぎると低カリウム血症(脱力感、痙攣、麻痺など)や血圧上昇等の副作用がでることがありますので、要注意です。
漢方薬を服用する場合は、生薬などの成分が重複していないかについては、十分に注意したほうがいいですね。
麻黄湯は、比較的副作用が少ないのですが、身体に異常を感じた場合には、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
自己判断は危険です。
インフルエンザで麻黄湯を服用する時の注意点とは?
麻黄湯を飲む場合には、体を温めることが大切です。
麻黄湯を飲むときに水ではなく、お湯に溶いて飲むのも効果的です。
生姜湯や味噌汁などで体を芯から温め、根菜類をとり、ビタミン剤などを補給するといいでしょう。
部屋の温度を高くして、布団にしっかり入って体を冷やさないように暖かくすることです。
暑くなってきても薄着や布団をかけずに寝るのは駄目ですよ。
しっかりと汗をかくことが大切です。
その汗は、熱をとるために必要なのですが、下着が汗で湿ってきたら小まめに交換しましょう。
濡れた衣服のままずっと過ごしていると、気持ちも悪いですし、風邪の治りを悪くさせてしまいます。
逆に汗をかきやすく、汗が沢山出すぎて疲れてしまうようならば、その時点で服用を中止するようにしましょう。
汗をかきすぎると体力を消耗してしまいますから、逆効果になります。
まとめ
●インフルエンザに麻黄湯は効果が高く、その効能はタミフルと同等と言われています。
●麻黄湯はごく初期の段階で使用するのがポイントです。その際に、汗をかいていないことが大切です。
●麻黄湯は汗をどっとかいたタイミングで飲むのを止めていいでしょう。それ以降、長引きそうなな場合にはダラダラと飲まずに、医師に相談しましょう。