インフルエンザに麻黄湯と葛根湯のどっちがいいの?併用は?
2018/01/28
漢方で、インフルエンザといえば、麻黄湯や葛根湯が効果的と言われています。
ただ、麻黄湯も葛根湯もその効用が似ているので、どっちを使えばいいのか迷っちゃいますよね。
そこで、ここでは、
インフルエンザには麻黄湯と葛根湯のどちらがいいの? 使い分けってあるの? 麻黄湯と葛根湯を併用してもいいの?
といった疑問についてお答えします。
インフルエンザには麻黄湯と葛根湯のどちらがいいの?
結論から言いますと、インフルエンザには麻黄湯のほうが効果的です。
ただ、麻黄湯も葛根湯も風邪やインフルエンザのごく初期に服用すると効果的な薬ですが、そのごく初期においては風邪かインフルエンザかの区別がつきにくいですよね。
ですから、薬を飲むタイミングでは、風邪なのかインフルエンザなのかがわからない状況である場合が多いということになりますので、その時点では麻黄湯か葛根湯かの判断はしにくいことになります。
一方、インフルエンザの検査は、発症後24時間~48時間の間に検査をすると明確にわかりますが、その頃にはウィルスが体内で増殖している頃になりますので、そこまで待っていてはタイミングを逸してしまいます。
したがって、発症後、すぐに服用することが必要な麻黄湯や葛根湯は、寒気がしてきてゾクッとしたタイミングでは、どちらを飲んでも正解ということになるでしょう。
そもそも、漢方では風邪とインフルエンザには区別がありませんので、同じように扱われます。
あとは自分の判断になりますが、直感的に、風邪だと思ったら、葛根湯でいいですし、インフルエンザだと思ったら麻黄湯がいいですね。
直感とは、今回の症状が、普段の風邪の症状に近いのであれば、風邪の可能性が高いですし、なにかいつもとは違う感じで重症化しそうな症状があるのであれば、インフルエンザの可能性が高いという意味あいです。
一般にインフルエンザでは、強い寒気と関節痛があり、熱が急に上がり始めることが多く、普通の風邪よりも急激な変化ですし、体温も40℃近くの高温まで上がることがあります。
このような急激な症状が出たときは、インフルエンザの可能性が高いので麻黄湯がベターですね。
あえて症状から使い分けるのであれば、寒気や悪寒が強い場合や咳が出ているときには、麻黄湯を選び、頭痛や肩こりが強いときには、葛根湯を選ぶというのを、一つの目安として考えてもいいでしょう。
麻黄湯と葛根湯の違いとは?
麻黄湯は、麻黄(まおう)・桂枝(けいし)・杏仁(あんじん)・甘草(かんぞう)の4つの生薬で構成されています。
この4種類というのがポイントです。
麻黄と桂枝は、身体を温め発汗を促す作用があり、利尿作用とあわせて熱を早く下げるのに有効です。
また、呼吸を楽にしたり、節々の痛みを緩和する効果もあります。
杏仁は、咳や痰を抑える効果があります。
甘草は、汗の出過ぎを抑える効果があります。
これらの成分はインフルエンザだけではなく、ひきはじめの全ての風邪によく効きます。
葛根湯は、葛根、麻黄、桂枝、芍薬、甘草、大棗(たいそう)、生姜(しょうきょう)の7つの生薬で構成されています。
こちらは、麻黄湯の4種類よりも多い7種類になりますね。
葛根湯にも、麻黄湯と同じ成分の麻黄、桂枝、甘草が入っているので、7種類のうち3種は同じということになります。
異なる4種類の生薬の薬効は以下のとおりです。
葛根と生姜は、発汗や発散を促す作用があります。
芍薬は、痛みを和らげる効果があります。
大棗は、麻黄の強い働きを和らげる作用があります。
以上から、麻黄湯と葛根湯は、ほぼ同じ効用があることがわかりますね。
ただ、漢方薬では、構成生薬が少ないほうが、作用が強く出るため、麻黄湯のほうが発汗・解熱作用が強く出ることになります。
ですから、急激に高熱になるインフルエンザには麻黄湯のほうが適切ということになるんですね。
麻黄湯と葛根湯の併用はいいの?
結論から言うと、麻黄湯と葛根湯の併用はしてはいけません。
麻黄湯にも葛根湯にも「麻黄」という生薬が含まれており、一緒に服用すると、副作用が強く現れる可能性があります。
麻黄の持つ興奮作用が強く表れて、心臓に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
インフルエンザを早く治したいからといって、麻黄湯と葛根湯を決して一緒に飲んではいけませんよ。
気を付けたいところですね。
インフルエンザと漢方については、以下の記事も参考にどうぞ。
「インフルエンザに麻黄湯!効果はあるの?飲み方は?副作用は?」
まとめ
●麻黄湯も葛根湯も風邪やインフルエンザに有効です。漢方には風邪とインフルエンザの区別がありません。
●使い分ける一つの目安として、寒気や悪寒が酷いときは麻黄湯、頭痛や肩こりが酷いときには葛根湯と考えればいいでしょう。
●麻黄湯と葛根湯の併用してはいけません。副作用が増幅される可能性があります。