慢性腎臓病(CKD)の保存期の病院選びのポイントとは? 24時間蓄尿
2018/05/01
慢性腎臓病(CKD)は成人の8人に1人が患者と言われ、新たな国民病とされています。
そのまま放置すれば最後は人工透析となる怖い病気です。
ここでは保存療法によって人工透析を回避するために、どのような病院を選択すべきかを検討してみました。
病院選びのひとつの参考にしていただければ幸いです。
慢性腎臓病(CKD)とは?
腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として排出するためのフィルターのような機能を有する臓器です。
小さな臓器ですが、いわゆる肝腎要(かんじんかなめ)な臓器です。
また、少しぐらいの機能低下では自覚症状もなく、沈黙の臓器とも言われています。
慢性腎臓病(CKD)では、腎機能が徐々に低下していきますので、自覚症状もないのが普通です。
また、腎臓は一度その機能が低下したら、回復しないと言われています。
従って、慢性腎臓病(CKD)ではいかにして、現在のその腎機能を維持するか、あるいは低下していくカーブを緩やかにするかが治療の目標となります。
一旦失われた腎機能を回復することは現在の医学では出来ません。
そこで、慢性腎臓病(CKD)の治療は保存療法に頼らざるを得なくなります。
保存療法とは、現在の腎機能を維持する手法のことで、具体的には、2つの大きな柱で構成されます。
1.血圧コントロール
2.食事療法
保存療法では、尿たんぱくの排出量を減らすことが、保存療法ではもっとも重要と言われています。
尿たんぱくは1日1g以下を目標とすることが多いようです。
これを実現するために、血圧コントロールと食事療法を合わせて実行して行くことになります。
慢性腎臓病(CKD)の重要な観察項目とは?
高血圧は、慢性腎臓病(CKD)の進行原因として最も強力な因子とされています。
家庭用血圧計を準備して、毎日朝と夜の決まったタイミングで血圧を測ることも重要です。
そうそれば自分で自分の血圧の変化に気づくことが出来ます。
現在様々なタイプの血圧計がありますが、シンプルなものでいいですが、その正確性からは、二の腕で測るタイプをオススメします。
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高血圧の原因の一つに塩分のとりすぎがあります。
食事での減塩は、食事療法の最も重量なポイントの一つです。
まずは、食事で減塩を心がけましょう。
お医者さんから処方される薬も併用しながら、血圧は75以上125以下を目標にコントロールすることが望ましいと言われています。
ここで気を付けたいのは、血圧は日々変動するものですので、日々の血圧の上下をあまり気にしないことです。
全体の傾向を把握することが重要ですので、血圧を記録していくことも必要になります。
また、血圧測定は必ず1回だけとします。何度も測って一番低い値を記録するのではなく、必ず初めの1回だけと決めます。
減塩は1日7g以下を目標にすることが多いようです。
病状により目標値は異なりますので、主治医の先生と相談して決めましょう。
減塩を心がけることは食事療法の前提となります。
そのために、このようなスプレー式の減塩醤油や塩を使うことも効果的です。
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その前提で、食事療法の中心は、低たんぱく食になりますが、闇雲にたんぱく質の摂取量を控えれば良いというものではありません。
カロリー不足は、かえって逆効果になり、腎臓に悪影響を及ぼしますので注意が必要です。
1日のたんぱく摂取量は、標準体重1kg当たり約0.8gを目安にすると言われているようです。
標準体重とは身長をもとに以下の式で算出されます。
標準体重(kg)=身長(m)x 身長(m)x 22
例えば、身長160cmの人であれば、標準体重=1.6x1.6x22=56.32kgとなります。
この人のたんぱく摂取量=56.32kgx0.8g=45gとなります。
この程度であれば継続することが可能な数値と思われます。
少し前までは、標準体重1kg当たり約0.5gと言われていましたが、ここまで厳しいと継続できないか、カロリーの摂取が不足する可能性が高くなります。
この辺りの数値は主治医の先生と相談の上で、決めていくことになります。
たんぱく制限を真面目に行う人ほど、カロリー不足になりがちです。
摂取カロリーは、標準体重1kg当たり30kcalは取るようにします。
先ほどの例でいくと、身長160cmの人の標準体重は56kgですから、摂取カロリー=56kgx30kcal=1680kcalとなります。
単純な目安として、食事療法を始めてから、体重が減ってきたらカロリー不足になっている場合が多いので、気をつけましょう。
食事療法は、適当にやればいいというわけではなく、正確な指標が必要です。
その指標となるデータを採取するのが、24時間蓄尿です。
これは文字通り24時間分の尿を採取してその一部を病院に提出して検査するものです。
ここから、たんぱく摂取量や塩分摂取量等、様々なことがわかるようです。
この検査結果を元に、食事療法がうまく進んでいるかどうかをモニターすることができ、このデータをもとに主治医と認識を合わせて、今後の方向性を確認することができます。
24時間蓄尿を行う病院とは?
24時間蓄尿と聞くと、どうしても入院患者をイメージされる方が多いと思いますが、この検査は自宅で簡単にできます。
自宅ですから、好きな時間に始めることが可能です。
病院によって色々なセットが配布されると思いますが、以下のようなものが配布されます。
基本的に全て使い捨てです。
1.メモリ付きの尿を貯めるビニールの袋
2.大きめの紙コップ
3.スポイト
4.検体入れ
作業は超簡単で、手順としては、排尿の度に紙コップにとって、それをメモリ付きのビニール袋に貯めていく作業を繰り返します。
最後に、ビニール袋に溜まった尿の量をメモして、スポイトでかき混ぜてから、その一部を検体入れに入れて蓋をして、あとは病院に持っていくだけです。
1週間程度は冷蔵庫で保存ができますので、週末に蓄尿することも十分可能です。
ポイントは、初めと終わりです。
例えば開始時間を朝6時とした場合は以下の様になります。
朝6時にトイレで排尿しますが、これはビニール袋に入れずに普通に流します。
次の排尿から、ビニール袋に入れていきます。
それを1日繰り返して、翌日の朝の6時に最後の排尿をして、ビニール袋に入れて、そこで完了となります。
以上のように、24時間蓄尿は簡単です。
蓄尿日の1日は、家にいればいいだけです。ちょっとした買い物ぐらいは外出できます。
基本的にはどこの病院でも24時間蓄尿検査を実施することは可能です。
しかし、これを毎回の診療時に検査するかというと、それは病院の治療方針によるところが多いと思われます。
ここでは、24時間蓄尿検査データを保存療法のモニターとして使うことが重要であるという仮説のもとに、そのような方針で治療を行っていると思われる病院をリストアップしてみました。
これらは各病院のホームページの内容から勝手に想像してものですので、必ずしも正確とは言えない部分もあると思いますが、参考にされてはいかがでしょうか。
- 椎貝クリニック:茨城県取手市 (ここは、私が通っている病院です)
- 大阪府立急性期・総合医療センター 腎臓・高血圧内科:大阪市住吉区
- 高円寺よしだ内科:東京都杉並区
- 大幸砂田橋クリニック:名古屋市東区
- 松山医院 大分腎臓内科:大分県大分市
- 日本大学医学部付属 板橋病院:東京都板橋区
- 愛知クリニック:愛知県豊橋市
- 中山寺いまいクリニック:兵庫県宝塚市
- 池袋久野クリニック:東京都豊島区
- 飯塚病院:福岡県飯塚市
- 静岡県立総合病院:静岡市葵区
- 神戸大学医学部付属病院 腎臓内:神戸市中央区
- 増子記念病院:名古屋市中村区
- 山浦内科クリニック:長野県上田市
- 行徳総合病院 腎臓内科:千葉県市川市
なお、本記事の内容については、以下の2冊の本を参考にしておりますことを
最後に申し添えます。
これらは私の主治医である椎貝先生の著書です。
もし、ご興味のある方は、一読されてはいかがでしょうか。
①透析なしの腎臓病治療
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②人工透析を回避!慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法
まとめ
●慢性腎臓病(CKD)の治療は保存療法しかない
●保存療法のポイントは、血圧コントロールと食事療法
●食事療法を正しく管理していくには24時間蓄尿から得られるデータが有益と言われる
●24時間蓄尿を通常の診療で行っている病院を病院選びのポイントにしてはいかが?