腹膜透析手術の体験談!時間や麻酔は?入院期間や費用は?
2019/06/01
私は腎不全末期のため、いよいよ人工透析を受けることになりました。
一応は、まだ仕事をしているサラリーマンなので、透析で拘束される時間が比較的短い「腹膜透析」を選択しました。
透析は、やると決意したら、すぐ次の日から透析を受けられると思っている方も多いかも知れませんが、実はそんな簡単なものではないんです。
透析を始めるためには、準備の手術が必要なんです。もちろん、入院もします。
今回は、その腹膜透析の手術を受けた私自身の体験報告です。
これから、腹膜透析の手術を受ける方の参考になれば幸いです。
腹膜透析の手術とは?
腹膜透析とは、お腹の中にある「腹膜」という膜を使って、血液中の老廃物を取り除く方法です。
お腹の中に、透析液を入れて、数時間後に取り出すとその透析液に老廃物が含まれて出てくるのです。
つまり、おしっこがお腹の中で作られて、それを取り出すってイメージですね。
その透析液をお腹に入れたり、出したりするためには、予めお腹にチューブ(カテーテル)を埋め込む必要があります。
その「カテーテル留置手術」を今回受けたわけです。
ちなみに、血液透析でも準備手術は必要ですが、血液透析の場合には腕に動脈と静脈をつなげて血流を良くした「シャント」というものを設置するんです。
今回、私が入院した病院には腹膜透析と血液透析の両方の手術を受けた人もいましたね。
初めから腹膜透析と血液透析の併用をするようです。
私の場合は、まずは腹膜透析だけということになりました。
まあ、腹膜透析って腹膜の寿命があるため、数年間の使用しかできないと言われていて、最後は血液透析になるため、いつか私もシャントの手術を受けることになりますが、今は深く考えないことにします。
まずは、「今できることをやる」ってことに集中します。
腹膜透析の手術はどんな感じ?時間や麻酔は?
腹膜透析の手術は、おへその横を縦に5cm程切ってそこからチューブ(カテーテル)を入れると説明を受けました。
大した手術ではないと思っていましたが、いざ手術となると、やっぱり少し緊張します。
手術は全身麻酔で行われ、手術に要した時間は約2時間でした。
以前、鼠径ヘルニアの手術を受けたときには、局所麻酔だったので、ぼーっとはしたものの、目は覚めていましたが、今回は全身麻酔なので、眠っているうちにすべてが終わるということでした。
眠っている間にやってもらえるのは嬉しいですが、完全に自意識がなくなるのはやっぱりちょっと怖いものです。
手術当日は、パンツ1枚の上に、ワンピースのような手術着を来て、足には膝までの強力なゴムのストッキングを履いて準備完了です。
いよいよ、歩いて手術室に行きます。
小さな手術ベッドに横たわると、クリーンルームらしい空調の穴がたくさん開いている天井が見えて、手間には、よくテレビでみかける大きな電球がいくつもついているようなライトがこちらを向いています。
もうこの時点で、まな板の上の鯉です。
自分の周りには、数人の看護師や医者がいて、慌ただしく作業をしています。
まず、両手を動かないように固定されて、胸には心電図のパッチが付けられ、酸素マスクが口に当てられます。
外科医と腎臓内科医の二人で行われるようでした。
すべての準備が完了したところで、予め左腕に設置していた手術用の点滴に、「麻酔をつなげますよ~」と聞こえました。
そして、すぐに少しぼーっとしてきたと思ったら、次に目が覚めたときには、もう、手術は終わっていました。
目が初めに覚めたときは、頭は半分夢の中って感じで、口の中からなにかを取り出しているようでした。
そういえば、全身麻酔中は呼吸もできなくなるので、口の中に管を入れて呼吸させます・・みたいなことを言っていたな~と思い出しました。
「息を吸ってー」と聞こえたので、一生懸命に息を吸おうと思ってもうまく吸えません。
そうしているうちに、また眠ったようです。
2度目に目が覚めた時は、視界に家族の顔が見えました。何かを言っています。
目を開けても焦点が合わず、誰がいるのかはわかるものの、表情までは見えません。
天井を見て、手術室でないことがわかりました。
うまく話せないながらも、やっとのことで「ここはどこ?」と聞いたら、娘が「手術室の隣の部屋」と答えたのを聞いて、安心して、また眠ったようです。
手術は午後1時半から始まって、午後3時半には終了したとのことでした。
その日は、その部屋で心電図や血圧計をつけたまま休みました。
頭のすぐ横には、心電図と血圧を常時表示しているモニターがあります。
やっぱり、手術したところは痛いものです。
傷口は、さらしを巻かれた状態となっていて触る気にもなりません。
おしっこを取り出すためのチューブが尿道に入っていて、違和感とちょっと痛みがあります。
それに、カテーテルがお腹のどこかにあたっているのか、股間に不思議な痛みを感じます。
つまり、傷口の痛みを感じつつ、カテーテルの股間の痛み、そして尿道のチューブの違和感と痛み、それらを全部感じながら寝るというなかなかハードな一夜でした。
まあ、以前に鼠径ヘルニアの手術をした時の経験があったので、こんなものだとわかってはいましたが、やっぱり快適とは言えない状況は変わりありません。
夜になると、いろんな痛みに加えて、いつもの体の痒みが襲ってきてどうにも堪らなくなりました。
少し体をずらして背中を掻きたいものの、手が届きません。
体を少し動かそうとすると、傷口やいろんなところが痛むので、ちょっとでも動くのは大変です。
やっと少し落ち着いてきて、眠れそうになると、定期的に測定している血圧計が右腕を締め付けるので、目が覚めます。
やれやれって感じです。
次の日の朝、そのままの格好で朝食を食べて、尿道からチューブを抜いて(これが痛い)、歩いて病室に帰りました。
腹膜透析の手術の入院期間や費用は?
腹膜透析の手術のために入院する期間は、約1週間と言われました。
月曜に入院して、水曜に手術を受けて、日曜に退院する予定でした。
それで、この記事を書いている今日は、実は、その退院予定の日曜日なのです。
しかし、ちょっとしたアクシデントがあったので、退院は火曜日に変更になりました。
そのアクシデントとは、手術の後の血液検査の結果、アミラーゼの値が上がってきて、1800というとんでもない高い値を示したためです。
これは「急性膵炎(すいえん)」の可能性もあるとのことで、背中の痛みがないかを先生に何度も確認されました。
全く背中には痛みがなかったのですが、すぐにCT検査を実施して膵臓の状態を確認しましたが、やっぱり異常なしです。
原因ははっきりしないようでしたが、点滴による薬剤投与の結果、翌日の血液検査では、アミラーゼの値は900となり、その翌日にはさらに500まで下がってきました。
もう少し様子を見てからにしようということで、退院の日程を2日延長することにしたのでした。
もし、このアクシデントがなければ、入院期間は、1週間で十分だと思われました。
事実、今の体調なら、今日でも退院できると感じています。
さて、今回の手術と入院の費用については、合計約18万円でした。
これには、入院治療に係るすべての費用、つまり、手術費・入院費・治療費・食費・投薬費・検査費・リネンレンタル費(寝巻き・タオル等のレンタル)を含みます。
これぐらい高額になると「高額医療費制度」がありますので、自己負担額は一定額で抑えられますので、あまり心配しなくても大丈夫です。
ただ、窓口では一旦支払いを行い、3ヶ月後に給与と一緒に自己負担額以上の金額は戻ってきます。
サラリーマンであれば、このあたりは、会社の総務や人事に聞くと詳しく教えてくれますよ。
さて、明後日退院です。
また、報告しますね~。
まとめ
●腹膜透析の手術は、全身麻酔で2時間程度の手術です。全身麻酔なので、眠っている間にすべて完了します。
●手術後の痛みはそれなりにありますが、我慢できないほど強烈なものではありません。
●入院期間は約1週間で、費用は高額になりますが、高額医療費制度を使えば自己負担は一定額で抑えられます。